2014年8月14日木曜日

【Disk Review】Issues "Issues"(2014)

今日は今年初頭リリースの中では様々な意味で重要な「イシュー」であろう、この1枚です。うまいこと言ったつもりです。

Issues "Issues"(2014)
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ご存知、Ex-Woe,Is MeのVo.であるTylorを中心に、同じバンドでスクリームボーカルを担当していたMicheal等で結成されたIssuesの1stです。このバンド、Woe,Is Meよろしく主にリズム帯のメンバーの入れ替わりが激しい…今年のWarpedでもかなりプッシュされていた存在なので、名前だけ知ってるという人も多いかもしれません。あと来月Rise Records Tourで来日もします。

それはさておきこのアルバム。Woe,Is Meのメンバーのバンドというよりは、全く別物のかっこいいバンドですね。それまでのメタルコアだと本当にやかましくてピコピコしててアレなイメージを持っていましたが、彼らはあえて音を抜くスタイルを取っています。代わりにといってもアレだけどターンテーブルが入っていることから、Nu-Metalっぽいとかなんとか言われているみたいで。Of Mice And Menなんかも新作はそんな雰囲気になったけれど、この手の中でも一番大胆にそうしたジャンルの要素を取り込んで、成功したバンドではないでしょうか。ですがきちんとリフを聞いてみると、それまでのメタルコアらしいリフの一部分を抽出したかのような作りになっていることが判るかと思います。「ああ…このへん今までだったらミュートしてた…」的な。で、彼らはその音の抽出の仕方がカッコよくて、それが結果としてNu-Metalっぽさだったり、Djentっぽさだったりに繋がってるのでしょう。



アルバムの中だとクリーンボーカルのTylorによる、これまでのメタルコアだと考えもつかないような遊び心あるメロディーの曲が個人的にはツボでした。この人のボーカル、かなり好きな部類です。繊細な声での表現がとてもうまい感じとそれを活かしたメロディーは、ジャンルの別を抜きにして考えればこないだレビューしたRise AgainstのTimなんかとは正反対だと個人的には思っていたり。オープニングの"Sad Ghost"、続くM-2"Mad At Oneself"、M-9"Personality Cult"などなど。遊び心あるメロディーに前述の音を抜いたリフ、シンセ、ターンテーブルなどの要素ががっちり噛み合い、それまでとは違ったベクトルの疾走感を出すことができている曲は、どれも名曲の印象です。



あと女性Vo.をフィーチャーしたM-10"Tears On The Runaway, Pt 2"なんかもたまらんです。この女性ボーカル、wikiを見る限りだとNyloっていうプロダクションを担当した女性らしいけど、上手い。Tylorもだけど、2人とものびのびと歌っているので聞いていて本当に気持ちいいです。



途中メロコアっぽさすら感じるM-8"Never Lose Your Flames"みたいな変化球があったり、ひたすら重たい雰囲気の曲があったりして、いろんなことやっているなあというのは感じました。ですが、ひたすら重たい雰囲気の中不規則な刻みだったり不気味なシンセだったりは、聞いてて個人的にしんどく感じてしまいました。いろいろなことをこのアルバムの中で実験していそうですし、そのうちの1つとしてはアリなのでしょうけど、あのクリーンボーカルをガンガン活かしてほしいなあと。M-12の"Disappear(Remember When)"の最後アルバムの締めくくりとなるコーラスを、ビッグなコーラスとかでなく女性のアカペラにしたのはメロディーの力強さに自信があるからだと思うので、そのままメロディーに力を入れる方向性になってほしいなと思っています。

なんにせよこのブログで扱った今年リリースの1枚の中では、ずば抜けて影響力の大きいアルバムであることは間違いないので、是非一度耳にしてみてください。

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