2015年2月25日水曜日

【Disk Review】Such Gold "The New Sidewalk"(2014)

このジャケットの顔がプリントされたスウェットを買ったんですけど、なかなかシュールです。買ってからかなり時間が経ったけどこの1枚をレビュー。

Such Gold "The New Sidewalk"(2014)
Rate 4.63/5.00




ニューヨークのメロディックハードコア、Such Goldが昨年リリースしたアルバム。前作Misadventure時からギターが一人抜け、ボーカルのBenがギターボーカルになってから作られた初のアルバムでもあります。前作もなかなかギターが凝っていたのでBenは弾きながら歌えるのかなと思ったのですが、そつなく弾きながら歌えているようでびっくりしました。

リリース前にM-2"Faced"がのビデオが公開されたときはBenの歌がかなり柔らかくなったのと、かなりプログレッシブになったのとで、どんなもんなんだろうと言うのが正直な所でした。しかし実際に聴いてみると、前作とは熱量を置くポイントが変わっただけで、十二分に爆発しそうにアツくてかっこいいアルバムです。演奏の複雑さが増し、キメのフレーズや変拍子が格段に増えたことで、これまでの彼らとは違うアグレッシブさが垣間見えます。まさにAWSやPropagandhiといったプログレッシブなメロディックハードコアの系統を継ぐバンドという感じ。


プログレッシブになった演奏はただただ音を詰め込んでいく方向にシフトしていった、というわけではありません。音をガッツリ抜くパートがあったり、かと思えばガチガチにキメるフレーズで畳み掛けたり、表現の幅が緩急どちらの方向にも広がった、という印象。

そしてボーカル。仮に前作までと変わらないスタイルで彼が歌っていたらと考えれば、おそらく情報過多になって聞き飽きてしまったと思います。だからちょっとBenが柔らかくなったと感じたのは、決して悪い変化ではないでしょう。柔らかくなったと言えど、それでもまだ彼が他のバンドと比べたらかなり熱量の高いシンガーである事には変わりありませんが。

あとBenがギターボーカルになったからか、メロディーに寄り添った展開やフレーズで曲が構成されるようになった気がします。まったくジャンルは違えど、メロディーに寄り添った曲という点では日本のASPARAGUSとかにも通ずる物があるんじゃないでしょうか。ソングライターはギターのDerbyみたいなのでその辺はどうだかわからないですけど、そういった事も念頭に置きながら曲を作っていたのかなと思います。

曲単位で言えば、M-5"No Cabs Here"、M-7"Nauseating"みたいに、プログレッシブさに加えて前作よろしくな熱量の高さのある曲が好きです。


M-9"Morrison"のガラスのようにエッジの効いたリードのフレーズ、よりクレイジーさを醸し出していていいですね。


表現の幅がぐっと広がった事で、他のバンドには決してマネできないような高い次元でプログレッシブに、熱量を爆発させたアルバムだと思います。ランアンランさん、The Warped Radioさん共同開催のみんなのベスト企画で、このアルバムを挙げる方が何人かいらしたのも納得の1枚です。おすすめ。

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